お日様が照らない。
とっても細かい針のような雨が降ってて‥‥
だから、今日は『天気』が悪い。
ついでの様に、朝から肌寒くって、てんとう虫の中の蛮ちゃんは『機嫌』が悪い。
その所為もあって、俺は妙に『居心地』が悪い。
だからついついシートの上でタレてしまっていた。
「くっそぉ、もう6月だってのに、なんでこう寒いんだ!」
蛮ちゃんはぶちぶち文句を言いながら、後ろの座席についさっき投げ込んだばっかりの毛布を再び引き寄せている。
お座なりに広げると、身体に巻きつける様にして埋まってしまった。
妙に、幼い仕種。ひょっとして、蛮ちゃん、機嫌が悪いって言うより未だ眠いんじゃないのかなぁ。
俺はそんな事を考えながら、シートの上で蛮ちゃんの様子を伺っていた。
時間は朝の6時過ぎ。
街は既に起き出している。そう、いつもなら。
けれど、今日は雨。
その所為だろうか?
人影はまばらで、街自体も眠っているような、不機嫌のような、雰囲気を醸し出しているような気がする。
俺の気のせいだとは思うけど。
グレーに塗り潰された空。
街自体も同色に塗り潰されてしまっていて、まるで何者かに『色』を奪われてしまったかの様だ。
『雨』は、目を凝らさないと、殆ど見えない。
細かい雨は、傘など無くっても平気そうに見えるのに、気付けば服はじっとりと濡れてしまう。
紙のビラなんて、あっという間に役立たずになる。
本当に、イヤな雨。
だから、何もすることが無い。
ふと、蛮ちゃんを見れば、毛布に埋もれて温かくなった所為なのか、シートの上で起用に丸くなって眠っていた。
「やっぱ‥‥、眠かったんじゃない」
起こさないように小声で呟いた。
眠い時の蛮ちゃんは妙に子供っぽく見える。
無意識なんだろう。
誰かに甘えたい、そんな心理が隠されているような気がしてならない。
(でも、俺じゃ、未だ甘えさせてあげられないんだよね‥‥)
まだまだ俺の方が、蛮ちゃんに甘えさせてもらっている。
そうした方がいいような気がするから。
俺が甘えてると、蛮ちゃんは安心したような顔をする。ホッとしたって感じに。
それが自分の存在価値だとでも思っているのだろうか?
こんな天気より、すっき晴れてた方がいい。
だから、雨の日は、何でもかんでも天気の所為。
だから『天気』が悪い。
でも‥‥
こんな可愛い蛮ちゃんが見れるのなら、『天気が悪い』のは悪くないなぁ‥‥
なんて身勝手な事を考えちゃうんだよね。
終り
コメント;
銀次の一人語りです。銀次フィルター掛かってます。気にしない方向で(笑)