『05 動いてくれないの?』 → 花月×蛮
「絶対、今のボーイ、お前が女だって思ったぜ?くくっ。どっちも男だって知ったらどんな顔すっかな?」
「おしゃべりはそのくらいにしませんか?貴方と話す為にスイートを取ったわけじゃないですよ?」
スイートルームの名に相応しい清潔さと上質なキングベッドを前にして、美堂くんは思い出し笑いを始めてしまった。
甘いムードも何も一気に壊された気分だ。
ここは都内を一望出来る某ホテルの最上階。
大きく縁取られた硝子窓から望む夜景は、まるで夜空を見下ろしているようだった。
豪奢な応接セットのテーブルには、今日の主役である美堂くんが貰ったプレゼントが並んでいる。
何の気もなしに美堂くんは受け取ったそれは、そのどれもが値段の大小はあれど、彼への思いで溢れているのは明白だ。
チクリと胸の奥を突く、嫉妬という名の棘。
けれど、見誤ってはいけない。
今、自分の腕の中に誰がいるかという事を。
「話す為じゃないんなら、俺とどうしたいんだ?」
ズラされたサングラスの奥で、至宝の宝石が挑戦的に覗く。
腰に添えていた手に力を込めて、彼の腰を引き寄せて密着させた。
「最上の時間を貴方にプレゼントさせて頂きますよ。」
「へぇ?大した自信だな。」
「嘘だと思うなら、確かめてみるといいですよ。夜は長いのだから。」
サングラスを外し、瞳がゆうるりと閉じられていくのを映画のワンシーンのように見送りながら、そっと唇を重ねた。
それが、長い夜の始まり。
「あっ……っ……んんっ……あーぁっ………ぁ…。」
細身ながらも質の良い筋肉で覆われた体が、己の腹上で舞い踊る。
両手を太股に置き、状態を僅かに後ろに反らせた状態で、上下に腰を振るう様は、攻めているはずの自分が逆に攻め落とされているように感じる。
事実、そうなのかもしれないが。
動きに合わせて黒髪が、乱れ散る。白い肌はうっすらと汗ばんで、淡く桃色に色付き始めていた。
そこに紅く色付く果実が2つ。さらに天を仰いでゆらゆらと揺れる肉塊は、涙のような雫を零す。
「…動いてくんねぇ…の?うっ…ぁ……最上の時間をくれんだろ?」
そう言って細められる瞳に、大蛇が身の内でうねるようにぞくりと男の本能が掻き立てられる。
艶やかに舞い踊る美堂くんに見とれていた事を自覚し、自嘲にそっと胸内で微笑むと、こう答えた。
「ええ。もちろん。」
上下に動くその律動に加算させるように、下から腰を突き上げた。それは、美堂くんの秘部のさらに奥を突き攻める事となる。
「あっあっ……っ………ぁ……。」
腰が震え、肉塊が質量を増し、包み込む内壁が歓喜しながら締め付けた。締め付けた状態で、さらに突き破るがごとく腰を下から貫く。
「あんっ……やっ……あん………ぁ……あっ…っ。」
締め付けながら腰を押し上げる為、より大きい摩擦が生じ、それが内壁を擦り、快楽を生み出している。
その証拠に、はち切れそうに膨らんだ美堂くん自身は限界に涙していた。
「……ぁ……女、みてぇな顔……っして、あっ……男抱いて…ぁ……他の奴らが…っ…見たら……ん、ぁ……どんな、顔……ぅ……すっかな?」
「他の人なんて知りませんよ。貴方の…こんな姿、他の人間には見せないんですから。」
余裕はないだろうに、負けず嫌いの意地なのか、そんな風に笑う美堂くんにちょっと意地悪するつもりで、はち切れそうなソレを握り、割れ目に親指を立てた。
「あっ……あぁっ……。」
「話す余裕があるなら、まだ大丈夫ですね。」
突き上げる動きに合わせてソレを上下に擦る。すると、すぐに悲鳴に似た嬌声が白い喉を通って、紅い唇から吐き出された。
「やぁ……あっ……そこ、はぁ………んっ、んっ……ぁ……イっちゃ、ぅ。」
「誰にも見せはしない。誰にも…。」
「あぁ……あーっ………かづ、きぃ……ぁ……。」
掌と下半身を白く汚して、一回目の解放を迎える。
それに伴って急速に締め上げられた内壁へ、私も白液を注ぎ込んだ。
胸に倒れた美堂くんの細い肩を掻き抱くと、身を起こした視線の先で夜景が瞬いた。
「夜は…始まったばかりですよ。」
そう呟いたら、息も整わぬ、荒い呼吸の合間で『上等だよ』と、美堂くんは笑った。
【あとがき】
意外と花月は男らしい気がする。
フリーなので頂いて参りました。goto様、ありがとうございます。珍しいかなと思って花×蛮です。(割と好きです、このカップル)焔
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