このお話は、もう1つの世界のお話です。




恋の罠を仕掛けましょう




ここは、裏新宿。

何時ものように、波児さんのお店に行く。

ここには、2つ目当てがあるんだ。

1つは美味しい珈琲、そしてもう1つは……



『こんにちは〜、珈琲飲みに来ました』


『珈琲だけでいいのか』



とニヤニヤっと俺をからかうように波児さんが言う。



『まぁ……珈琲だけじゃないけど……』


『だろうな……ほらっ』


『有難う…ところで蛮ちゃんは?』


『もう少ししたら帰ってくるだろうよ』



と言って波児さんは新聞を読み出した。

珈琲を飲んでいると、ドアが開き、蛮ちゃんが帰ってきた。


『波児〜ブルマンちょうだい〜』


『はいよ』


『あっ、銀次だ!』


『こんにちは、蛮ちゃん』


『ん』



蛮ちゃんは、俺より1つ年下の女の子。

最初に会った時から一目惚れしたんだ。

でも、言ってない。

隣に座る蛮ちゃんに、こんな質問をしてみた。



『蛮ちゃんはバレンタイン誰かにあげるの?』



すると蛮ちゃんは…



『ん。一応……でも受け取ってくれるかが心配かなぁ…』


『そっかぁ…あげるんだ…チョコ』


『ん。けどさ、銀次はいっぱい貰えれるだろ?』


『えっ、貰わないよ…』


『ウソ』


『本当だよ…俺、モテないもん…』


『でも……夏実ちゃんやレナちゃん…それにヘブンさんやマドカちゃんに貰うだろ…』


『それは貰うけど…全部義理チョコでしょ』



と苦笑いをしながら答える俺。



『それに……』


『?』


『本当に欲しい人は一人しかいないしね』


『……』


『まぁ…その人から貰えれるかは分からないけどね』



と俺が言うと蛮ちゃんはコップをテーブルの上に置くと、



『銀次……』


『えっ…』


『…ごめん…またね…』



と言って店を出ていってしまった。

訳が分からないまま、閉まったドアをただ見つめていた。


そんな事があって蛮ちゃんと会う事が出来なくなっていた。

バレンタイン当日……

俺の携帯にある人から電話が入る。

ある場所に来てほしいと言うと電話は切れた。


俺は指定された場所に急いで向かった。

その場所に着くと、その人は待っていた…



『ごめん、遅くなって…』


『……』


『……怒ってる?蛮ちゃん?』


『……』



蛮ちゃんは、なにも言わず俺に紙袋を差し出した。



『これ…って…』


『……ぃや…じゃなかったら……受け取って……下さい』



と俯いたまま小さな声で言った。



『……俺に……くれるの』


『……ん』


『あっ…ありがとう…』




そう言うと俺は蛮ちゃんごと抱き締めた。

急に抱き締められて蛮ちゃんはびっくりしていた。

俺は蛮ちゃんを抱き締めたまま……



『俺…蛮ちゃんの事が好きだよ…』


『えっ…本当に…』


『うん』



と言うと蛮ちゃんは頬を赤らめて…



『あのね…私も銀次が好き…』



と言ってくれた。

俺は嬉しくて、もっと力強く蛮ちゃんを抱き締めいた……。





おわり





コメント
フリーでしたので早速頂きました。
ニョ蛮ちゃんが初々しくてかわいいです。
ほのぼのとした雰囲気が良いですよ(焔)




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