MGB学園とは


所謂、魔術学校です。テストや課題をクリアーする事で進級出来るシステムな為、クラスメイトには年がばらばらな人々がいます。
そんな学園に、魔力は強大だけれど、制御がからっきしな天野銀次と美堂蛮の二人が転入してきました。


こんな設定でお題を短編シリーズにしてみました。
(今回のお題はこちらからお借りしました→咲羅屋)













15 お茶会(花月&蛮)





いつも賑やかな校内だが、今日はまた格別にざわついた、というか緊迫したざわめきに満ちていた。

それもそのはずで、今日は校外からの来客を呼んでの野点の会があるのだ。

校外からの客という事は、当然魔法とは無縁の人々な訳で、その為今日一日は、校内であっても魔法の使用は禁止されている。

もし破れば、即退学というほど厳しい決まりがある。

そして、守る事がこんなんだと思われる生徒は(特にコントロール等に問題がある生徒など)予め公休が用意されている。

事前に申請書類を提出さえすれば、今日は休んで良いわけだ。

銀次にも、先生から公休を取らないかという要請があったのだが、蛮は登校することが決まっていた為に出席している。

とはいえ、こうして教室で大人しくしているように釘をさされていたから、窓から校庭の賑わいを眺めているだけである。

その蛮はといえば、本当なら休むつもりだったが先生からのお達しで野点に参加しなければならなくなった為、いやいやながら出席している。

本当なら、一緒に休んで遊びに行きたかった事は事実だが、仕方ない。

蛮の近くにいられない事もつまらない要因の一つだった。

「は〜、ツマンナイなぁ…」

銀次は呟くと窓枠に懐いたのだった。













「なぁ、念の為に聞くけどさ。マジに、コレを着るわけ?」

「ええ、そうですよ。着方が分かりませんか?」

蛮は用意された着物に着替える為に、茶道部の控え室にきていた。そこに用意されていた着物を手にとって、共に野点に参加要請された花月にそう聞いたのだが、彼にはあっさりと肯定の返事を返されて、何と言えば良いのか、複雑な顔をした。

「いや、着方は大体分かるけど、なんで、コレなんだよ?」

「それは茶をたてる方は、女性の方が嬉しいからじゃないですか? 来客の方々はほぼ男性の方ですしね」

「だからって…、何で、俺まで…」

蛮は着物を広げ、溜息を吐いた。なんせ用意されていたのは女性用の着物だったのだから。

「似合うとおもいますよ」

蛮の以外にも子供っぽい仕草に花月は笑みを浮かべてしまった。

「笑いながら言われてもなぁ…」

蛮は溜息しか出ない様子であった。



本来、野点の会で茶をたてるのは、茶道部の上級生達だが、今回は指導する先生から合格点に達する生徒の数が足らなくなったため、本来茶道部ではない花月や蛮に助っ人としての白羽の矢が立ったというわけだ。

「しかし、美堂君が茶をたてられるとは、初耳でしたね」

「茶道部の顧問の夏彦は幼馴染で、一緒に茶とかの礼儀作法を一通り一緒に習ったんだよ」

なる程と、花月は頷いた。

前学園長の孫だと言う理由でかりだされるとは、変だと思っていたのだ。作法を一通り身に付けている事を、弥勒先生は知っていたのなら、頷ける。

弥勒夏彦は茶道と書道の部活顧問をしていて、魔法授業では理論学という上級クラスの授業を

担当している。

だからこそ、花月には蛮と彼とのつながりを知らなかったのだ。

「まあ、諦めて支度してください」

「…ち、仕方ねぇな」

2人は着物に着替えた。流石に帯は、蛮一人では上手く締められず、花月に手伝ってもらったが。

「さ、此処に座って…」

「な、なんでだよ?」

「立ったままじゃ、化粧がしづらいでしょう?」

「け、化粧までしろってのか! 冗談じゃねぇ」

「だって、化粧しなければおかしいでしょう。さ、ダダをこねないでね」

花月は以外にも強い力で蛮を捕らえると強引に椅子に座らせた。

「ちょ、いたたた!」

「じっとしててくださいね」

にっこりと黒い微笑で微笑まれ、蛮は背筋に冷たい汗が流れた。

「すぐ終わりますよ」











そうして、花月によって化粧を施され、あまつさえ、髪も整えられた蛮は、まるっきり女性にしか見えなかったという。

野点の会に参加した謎の美女のうわさが飛び交うのはそのあとすぐであった。











終わり











コメント

MGB学園のお題15です。今回は蛮ちゃんと絡むのは花月君でした。






戻る