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*サディスト・マゾヒスト ~* 後編 *~
ヒュッと、何かが空気を切り裂いた。 直後、鮮烈な痛みが蛮を襲う。
「いっ……つうっ。」
夢の世界に堕ちていた意識が、その痛みにより、強引なまでに覚醒させられた。 夢うつつの意識が痛みの元を辿り、さ迷っていた瞳が見れば、肩に赤く浮かんだミミズ腫れを発見する。
「目、覚めた?」
その痕に驚いている蛮に銀次が声をかけた。 手にしている黒皮の鞭に、ギョッと目を剥く。
木馬から降ろされた代わりに、上半身の戒めはそのままに、蛮は天井から吊り下げられていた。 後ろ手に縛られた手首と腰の辺りを天井から伸びた鎖に繋がれ、下半身だけが床に垂直に垂れ下がっている。 爪先が着くか着かないかの高さは踏ん張る事も出来ず、体の自由が効かない状況は、さっきと同じだ。
「銀次。てめぇ…」
信じられないものを見るような目付きで、蛮は銀次を捉らえた。
「まだ、これからだっていうのに、蛮ちゃんったら寝ちゃうからさ。でも、目が覚めたでしょ?」
あれで終わりではなかった事に、蛮はゾクッと背筋を震わせた。
再び空気が裂けると、幾本も束ねられた黒皮がしなり、パシンと小気味よい音を響かせて、蛮の体に打ち込まれた。 白い肌が見る間に赤くなり、鞭の形を示すようにフクリと腫れ上がる。
「いつっ……」 「やっぱり、蛮ちゃんって赤が似合うよね…」 「ンッ……っ」
自分がつけた痕をうっとりと見つめ、銀次はそこに舌を寄せる。 押し付けられた舌に痛みを感じ、蛮の眉間に深いシワが刻んだ。
「ここも、赤くなっちゃったね。」
双丘を見遣り、息が触れたかと思うと、生暖かい感触がそこを伝った。
「やっ……ぎん、じっ」
染みるような痛みと、それだけではない何かが背筋を駆け上がる。 双丘を鷲掴み、左右に大きく割り広げると、パクリと口を開けた入口に、躊躇いもせずに尖らせた舌を挿し入れた。
「あんっ……ぁ…ン……ふぅ、あっ…ァ……」
ゾクゾクと震え出す体が変化を見せるのに、そんなに時間はいらなかった。 リングの外された性器は、その身を勃ち上がらせて、ハタハタと蜜を零していた。
「んっ……あっ…あ、ァ……あぁ…ぁ」 「ここ、凄く物欲しそうだよ?」 「ひぃ…んっ……ぁ…」
唾液に濡れた入口に両方の親指を突っ込み、更に左右に広げると、波打つ肉壁のピンク色が覗く。
「欲しい?」
挿し入れた親指を取り込もうとする貪欲なソコに目を細め、薄く笑みを敷いて尋ねた。 蛮は、ただ無言で懸命に首を上下に振った。
「じゃあ、あげるよ。」 「あぁ、あっ……ひっ…ぃ、あァー」
ズブと蛮の体を貫いたのは、蛮が求めていた温もりではなかった。 温もりのカケラもない、固い極太のロウソクが冷酷に突き刺さっている。
「ヒッ、んぁ……やだ……銀次ぃ」 「何で?欲しかったんでしょ?」 「ち、違っ……いっ、アァ…ッ」
ロウソクを掴むと、銀次は前後に抜き差しを始めた。 丸い底の角が肉壁を擦り上げて、蛮の意思とは裏腹に官能が生じる。 銀次は角度を変え、前立腺ばかりを突き攻めた。
「あ、あ、あっ……っ…やっ、ぎん…じぃ…」
吐き出す事を許されていなかった性器は、銀次の攻め口に耐え切れずに吐精してしまった。
「ロウソクでイっちゃったの?」
鼻で笑うような言い方に、怒りと恥ずかしさで顔がカッと熱くなる。 けれど、銀次はそんな蛮の神経などお構いなしに意地悪く続けた。
「ロウソクがいいなら、今日はこのままでシようか?」 「ちょっ…、銀次!」 「こんなに、沢山出しちゃってさ。ロウソクがいいんでしょ?」
床に溜まった白液がよく見えるように、蛮の髪を掴んで下に向けさせる。 咄嗟に顔を横向けて、蛮は抵抗を示した。
「ロウソクじゃないなら、何が欲しいのかな?」 「わかってんだろ…」 「ぜーんぜん。」
覗き込んだ顔が、満面の笑みを作る。 爽やかな笑顔とは真逆に、妥協を許さぬ銀次の意思が見て取れた。
「言ってくれなきゃ、このままだよ?」 「ひぅ……アァ…ン…」
回転しながら、ロウソクが奥へと押し込められ、内蔵がせり上がっていく苦しさに涙が零れた。
「……しい。」 「なぁに?聞こえない。」
唇を噛み締め、蛮は意を決した。 沸き上がる疼きは、ロウソクなんかで満足出来るわけがない。
「銀次が欲しいっ。銀次のデカいのを俺に入れてくれよ。」
意地もプライドもかなぐり捨てて発せられた台詞に、銀次が破顔した。
「嬉しい。蛮ちゃん。」
抜き取ったロウソクの跡、ボカリと空いたソコを猛る肉棒が突き刺さった。
「あっ……」
ふるっと、体が震える。 ウチから焼いていくような灼熱の熱さが、無機質なロウソクとの違いをまざまざと見せ付けて、銀次でなくては駄目なのだと痛感する。 天井から吊られたまま、銀次は背後から蛮を犯した。
「あっ、ァ……アァ…っ……アァ」
ユラリ揺れる体を好き勝手に揺さ振って、自分という存在を刻み込む。
「あぁ、んっ……あっ、ぁ………っ……あっ…ぁ……」
ロープが擦れて出来た傷の痛みさえも、蛮にとってはもはや快楽へと変わっていた。 痛いはずなのに、ゾクゾクの腰から立ち上る感覚は官能であり、気持ちいいと感じてしまっている。 次第に麻痺していく感覚に、逃れる意志は見当たらない。それどころか、貪欲に体は刺激を求めて、己を貫く銀次を締め付ける。
「蛮ちゃん。さっきは、イかせてあげられなかったからね。今度はいっぱいイかせてあげるよ。」
肉壁の動きで射精が近い事を悟った銀次は、自分勝手な腰つきとは一転して、蛮のより感じる部分を攻め始めた。 攻められ続けていた体は、溢れんばかりの快感に堪えようもなく、すぐに限界を迎えた。
「もぅ……ダメっ…ぁ……ぎん、ぃ……イくっ」
ビクビクと震える肉壁に追い詰められて、銀次も限界に近い状態だった。
「そういえば、まだ言ってなかったよね。」
ふと、思い出すように言って、細い腰を掴む。 打ち付けて赤くなっている双丘に向かって、とどめとばかりに奥へと突き上げた。
「あ、ぁっ……銀次ぃ………アァ、あーーっ」
奥からじわっと広がる熱さに、蛮も煽られて吐き出しながら、混沌する意識の中でそれを聞く。
「お誕生日おめでとう。蛮ちゃん。」
意識は薄らいでいくのに、それだけはハッキリと胸に刻まれていくのだった。
【あとがき】 蛮ちゃん、誕生日おめでとうε=ヾ(*~▽~)ノ 今年も祝えた事に感謝です!果たしてSMで祝ってると言えるかは不明; SMも爪の甘さが否めない所ですが、創造力だけでは色々と限界がありました。 勉強して出直してきます(・_・ゞ-☆
コメント
フリー作品でも読み応え十分ですよね。蛮ちゃんは一日中、たっぷり愛してもらえた事でしょう。 goto様、落書きは後日追加する予定ですので、お待ちください。(こっそり隠そうかと。goto様には何処に隠したかちゃんと教えますので)
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