Black Valentine's day(黒銀次、蛮総受け)
「ほら、蛮ちゃん。チョコならまだ沢山あるんだから。どんどん食べてよ。」 「ふぅ……んんっ……んぐぅ…っ……」
チョコレート特有の甘ったるい香りが部屋中に満ちている。それはまるで、肌にべったりと張り付くようで、蛮は胸が焼けるようだった。 銀次が軽く加えていた一口チョコを、無理矢理口付けで口内へと押し込まれ、絡み合う互いの舌の間で緩やかに溶けだした。一層、チョコレートの香りが増す。
「いけませんねぇ。銀次くん。下の口にもあげないと。」
白い手袋を脱ぎ捨てて、赤屍もまた、銀次と同じ一口チョコを手にした。ヒクヒクと開閉を繰り返している秘部に、固いチョコをねじ込んだ。 先刻入れたチョコレートが溶けだして、トロリと甘い香りをさせて零れていく。
「ひぃ……いいっ…あぁ……」
ビクリと背中が大きく仰け反った拍子に、手枷に付いた鎖がジャラジャラと鳴る。それは、天井から伸び、蛮の両手を万歳の格好で縫い止めていた。その中途半端な長さのせいで、蛮は膝立ちの格好以外取る事が出来なかった。
「美味しいですか?美堂くん。みんなで作った媚薬入りチョコは。」
花月が少女のように笑うと、士度がテーブルの上のチョコレートを鷲掴んだ。
「まだ、食べ足りないってよ。」
そう言うなり、いっぺんに三個も一口チョコを後ろの口に押し込めた。
「…あぁ………いたっ………やめっ…ひぃ…」
精液と混ざり合って、溶けだしたチョコレートが内股を伝わっていく感触が堪らなかった。 士度は、入れたチョコレートをもっと奥まで押し込めようと、肉襞を擦り上げながら二本の指を突き入れた。
「あぁっ……あぁ、んっ……あっ……あっ……」
四角張ったチョコレートの角が美肉を擦り上げる度に、ぞわぞわとした得体の知れないモノが体内を駆けて行くような気がした。 それが不快ではなく、快感だと感じるのは、元からの資質か、チョコレートから染み出した薬のせいかはわからない。
「うっ……あァ…っ……あっ」
また一つ、体内でチョコレートが溶け崩れた。 ドロリと、中に入っていた薬が流れ出したのが、手に取るようにわかる。熱いとすら思う液体が、ヒダの間を縫って隆起するナカを撫でるように流れてく。
「ふぅ……んっ…ッ……あっ、ァ…」
ビクビクと腰が勝手に揺れた。腹部に着きそうな程に張り詰めている分身が、触れてもらえずに可哀相なくらいだ。
「美堂くん見てたら、俺もチョコレートが食べたくなっちゃったなぁ。」
張り詰めた分身を見遣って鏡が意味深に微笑む。そうして手に取ったのは、チョコレートシロップだった。 屹立した蛮の分身にタラリとシロップをかけると、鏡はそれをデザートとでも頬張るように口にした。
「…ひぃっ……ィ…あぁん…あっあっ……」
待っていた刺激が蛮を襲い、背筋から頭のてっぺんへと電流が突き抜けていった。 その反応に満足そうに瞳だけで笑うと、口をすぼめ上下に吸い上げながら扱いた。
「うぁ……あん、アッ……っ……」 「随分と美味しそうですね。鏡くん。では、私も…」 「ふっ…ァ……あぁ………あー…ッ…」
赤屍は指先にチョコレートシロップを取り、フクリと膨れた胸の突起に塗り付けた。チョコレートの海から赤く熟れたチェリーが覗く。 そっと舌を触れさせると、甘さの先に固い実が舌の上を転がった。チョコレートシロップを舐め取るように、舌先がチェリーを突き、転がしていく。
「指まで食うつもりか?」
秘部を攻めていた士度が薄く笑う。快感に合わせるように収縮した入口で、士度の指先は締め付けられている。 これが指ではなく己の猛った分身だったら…と、想像するだけで士度は興奮した。
「美堂くんは欲張りなんですね。だったら、僕の分も差し上げますよ。」
花月は士度の指が入っているソコに、更に自分の指をねじ込んだ。
「やぁ……アッ……ッ………あぁっ…」
四本の指が自分勝手に動き出す。奥を攻め、前立腺を押し上げ、ひっきりなしに違う快感が襲ってくるから、蛮は堪らなかった。 秘部だけに限らず、胸も分身も同時に攻められているのだ。もう、理性なんてものはなく、蛮はただ快楽に喘ぐしかなかった。
そして、とうとう…
「ふぁ……あぁ、んん……っ………」
耐えきれなくなって、蛮は弾けた。 鏡の口腔にチョコレートの甘みとドロリと流れ出した生暖かい精液とが混ざり合って、複雑な味が広がった。 吐き出しもせずに、鏡は蛮に見せつけるように飲み干した。蛮の顔が羞恥に歪む様を見て、まるで、この表情を見る為に飲み干したのだと言わんばかりに、満足そうに微笑んだ。
「はっ…はっ……もう、やめっ……」
ようやく、一度目の吐精を迎えただけなのに、蛮はすでに疲労困憊だった。鎖で繋がれていなければ、床に崩れ落ちていただろう。
「何言ってるの?蛮ちゃん。」
蛮の痴態を静かに眺めていた銀次が、悪魔の微笑みを浮かべて言った。
「今日はバレンタインなんだよ。みんな、蛮ちゃんにチョコをあげたくて来たっていうのに、止めて欲しいなんて酷いんじゃない?」 「やっ……。無理、だ………」 「そうかな?ここは、元気になってきたみたいだよ。」
体にたっぷりと染み込んだ薬のせいだろう。吐き出して萎えたばかりの分身が、すでに立ち上がりかけていた。
「せっかく、マクベスが素敵な部屋を用意してくれたんだから、もっと楽しまなくちゃ。後から、不動も十兵衛も笑師もみんな来るって言ってたよ。蛮ちゃんってもてるからね。」
残酷な宣言を、銀次はそれこそ一口チョコをあげるような気楽さで言うのだ。その笑顔が無邪気で純粋に見えれば見える程、蛮は恐ろしくて仕方がなかった。
「じゃあ。みんながあげる前に、蛮ちゃんが一番大好きな俺のチョコをあげるね。」
身につけていた洋服を脱ぎ捨てて、銀次は蛮の背後に回った。蛮の周りを取り巻いていた男達はすっと身を引いて、影に潜んだ。 だが、二人の交わりを見届けようとする熱い視線は、否応なく注がれていた。
「見られるの、好きでしょ?」
蛮の背中に胸を押し付け、銀次は耳元で囁いた。怒張した銀次の分身が尻に触れ、それだけで体の芯が熱くなった。
「やっぱり、コレが欲しかったんだ。一番好きだもんね。」 「・・・・ぅ」
反論しようとして、けれど、その言葉を告げられなかった。 口で嫌だと言いながら、体は欲しがっているのだと、蛮は認めずにはいられない。 蛮の双丘の間に分身を挟み、焦らすように擦り付けた。物欲しそうに口が無意識にピクピクと震え出す。
「欲しいって、好きだって、言ってごらんよ?ねぇ?」
耳の裏を舐め上げながら、固く立ち上がった果実を摘み上げられる。小さな刺激が、体の芯に熱く燃え始めた炎を煽っているように思えた。
「……しい。」 「なぁに?もっと、聞こえるように言ってくれなくちゃ。」
蛮は唇を噛み締め、意を決したように言った。
「欲しいっ。一番好きなヤツ、くれよっ」 「お腹いっぱい食べてね。」
チュッと、音を立てて銀次は耳の裏にキスをした。 そして、緩慢とも思える動作で、ゆうるりと蛮のナカに踏み込んだ。
「あっ…あっ………あぁ………ァ…」
長く尾を引くようなチョコよりも甘い響きが部屋に零れた。 それを合図に、銀次はゆるゆると腰を使い出す。焦らすようにしてたのは、ほんの最初だけで、蛮のナカの目も眩む熱さに、夢中になったのは銀次だ。
「あっ……はっ……蛮ちゃん蛮ちゃんっ」 「いいっ……銀次ぃ……あっ、奥……あたる……っ…」
本当に食べられているようだと思った。きゅうきゅうと締め付ける入口と、熱く波打つナカに飲み込まれて。 油断すると、支配しているはずが、途端にひっくり返されそうになる。蛮は無意識だろうが、銀次としては何処か緊張感を持っていた。 でも、それが適度なスパイスとなって、興奮を更に掻き立てている事を知っている。
「みんながチョコあげたくなっちゃうのも、わかるなぁ。」
同時に、けれど…と思う。
蛮ちゃんへのチョコは、みんな本命だろうけど。
蛮ちゃんの本命は、俺だけ。 ねぇ?そうだよね。
声に出さずに呟いて、銀次は突き入れを深くさせた。
「あぁっ……ぎん…じぃ……あぁ、んっ…」
そんな銀次の心を知っているのか、知らないのか。 蛮は、二度目の吐精を迎えた。
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