まぁお酒なんて、飲んでも呑まれるな、なんてよく言われるシロモノなんだよね。 大抵は酔っ払ってもけろりとしている蛮ちゃんなんだけどさ。時々、本当に時々、度が過ぎる事がある。 そういう時の蛮ちゃんは次の日には全く酔っ払って起こした事を覚えていない。勿論、滅多にお目にかかれるものじゃないし、警戒するような他人がいればまずない。だから、"それ"を知っているのはおそらくオレだけ。
蛮ちゃんってばね、飲み過ぎると、たま〜に子供みたいになっちゃうんだよね。
「ぎーんじー、お水ぅ〜」 「はいはい」 何とか借りたボロアパート。そこが今の二人のねぐらだった。酔っ払った蛮をなんとか部屋へ連れて帰って来たばかりだ。 一間しかない六畳の畳の上で転がったまま、蛮は手足をジタバタさせて駄々っ子の様に叫んでいる。 それに苦笑しながらもグラスに水を半分ほど入れて銀次は戻ってきた。 「はい、お水。そのままじゃ飲めないよね。はい、起きて起きて!」 「う〜 だっこぉ」 「もー、しょうがないなぁ」 グラスを小さな座卓に置くと、蛮を抱える様にしてだきおこした。 酒をしたたか飲んだせいで、いつもは低い蛮の体温も子供の様に高くなっていた。 「ん〜 あっつうーい‥‥」 「ああ、もう! 服脱いじゃダメだってば‥、風邪引いちゃうよ。ハイ、お水飲んで」 背を支えたまま、グラスを差し出せば蛮は引ったくる様にグラスを掴んだ。 「あっ、片手じゃ落とすよ。ハイ、両手でしっかり持って」 グラスを持つ手にもう片方の手を添えさせてやると、素直に蛮は両手でグラスを持った。小さな子供みたいに両手でグラスを包みこむように持って、中の水をゴクゴクと飲み干した。そうしてそのままグラスを突き出してくる。 「もうイイ? まだ飲む?」 「もーいい、あついよぉ、ぎんじィ」 呂律の怪しい口調は子供めいていて、銀次の苦笑はますます深くなっていた。 グラスをキッチンに置きに行っている間に、蛮は自ら服を脱いでしまったらしく、投げ捨てられた服があちこちにちらかっていた。本人は素っ裸で畳の上で丸くなっている。 「あ、もう。蛮ちゃんってば‥‥」 一体どんな子供時代を過ごしてきたのやら。 「寒くない?」 「ん〜、へーき。あっつぅいのォ!」 どこかふわふわした、舌ッ足らずな口調。 まるっきり子供のようだ。 それにしても目のやり場に困る事この上もない。 銀次は部屋の隅に畳んで積まれた布団の中からとりあえず毛布を引っ張りだして蛮にかけてやった。
ぱさっと毛布に埋もれさせられて、中でもぞりもぞりと動く塊は、まるで猫のようだ。 くすくす笑ってみていると、毛布のへりから蛮の頭がひょっこりと出てきた。 「銀次も‥‥寝よ?」 にっこりと笑う笑顔に罪はない、多分。 滅多にしない邪気のない素直な笑顔。 銀次の顔が一息に朱くなったのだった。 「???」 のそりとまるっきり猫の仕草で毛布から蛮が這い出してきた。 白い素肌は飲酒のせいで桜色に染まっていて、銀次の鼓動を尚更跳ね上げさせた。 「寝よー? 寝ないのォ?」 すりすりと凶悪なほどの愛らしい仕草で擦り寄る蛮は、素っ裸なわけで。 「ね、寝るから、ね。ちょっと離れて‥‥。ね?」 煽られすぎてドギマギしながら応じれば、銀次の変化に蛮が気がついた。 「これ‥‥、立ってるよ?」 そんなふうに言いながらつっつかないで欲しい。 内心でそう叫びながら銀次は蛮の肩を押して引き離した。 と、蛮はその場にちょこんとあぐらに座った。 「? どうしたの?」 覗き込んでそっと聞けば、彼は自分の股間をしげしげと見下ろしていた。 当たり前だが、そこに変化はない。 蛮は再び銀次の股間を見やり、また指先でつくつくと立ち上がりかけたモノを布越しにつつき出した。 「や、止めてってば‥‥」 「なぁ‥‥なんでこうなんの?」 「ヘ?」 「俺のも、こんなふうになるのか?」 純粋な好奇心なのだろう。 けれど、撫でられつつかれした股間は後戻りできそうもなくて、とうとう銀次はキレた。 「判った、教えてあげるよ‥‥蛮ちゃん」 銀次は、全裸の蛮を毛布の上へゆっくりと押し倒したのだった。
全裸の肌を惜し気もなく曝し蛮は抵抗一つせずにされるがままに身を委ねていた。 何度もしつこい位の愛撫を緩やかにまだなんの反応も顕していない蛮のペニスに施してやる。 「ん‥‥、ふぅ‥」 時々ひくりと蛮の身体が震える。 そんな反応を返すところにしつこい愛撫を加えれば、ゆっくりと彼の股間には変化が顕れてきた。 「ほら、蛮ちゃんも立ってきたよ」 耳に吹き込むように囁けば、蛮はびくんと大きく身を震わせた。 「どう?」 「んっ‥あっ‥‥な、なんか‥変、な‥感じ‥」 「気持ちイイ?」 銀次がそう問い掛ければ、素直にこくこくと頭が振られた。 「んっ‥、気持ち‥いい」 ペニスの先端に滲む精の蜜をなすり付けるようにして上下に扱いてやれば、もっととでもいうように蛮の腰が突き出された。 「これがイイ?」 手の中のモノを扱きつつ、顔を寄せると先端の穴を舌先でほじくるようにつつく。 「んあっ‥‥やっ‥んっ‥‥」 大きく身体を跳ねさせて、ますます力強く蛮のペニスは立ち上がる。 「ほら、蛮ちゃんのも立ち上がってきたよ」 蛮は、促せられるまま上体を起こした。途端、目にはいるのは怒張している自分のペニスだ。 トロトロとした白い液と銀次の唾液とで濡れそぼったそれは、ひくひくと快感に震え、先端の口を物欲しげにパクパクさせている。 「銀次の‥より‥ちっさい」 顔を朱に染めそんな感想をもらした。 「かわいいね、蛮ちゃん。もっともっと気持ちよくしたげるね。いっぱい感じて、いっぱい吐き出して」 「吐く?」 「そうだよ。この白いのが噴水みたいに出るんだよ」 「銀次のからも、出る?」 「勿論、出るよ。いっつも蛮ちゃんの中に溢れるくらい出してるよ」 あぐらに座ると蛮を引っ張り抱き込む。 そのまま背中から前へ手を伸ばし蛮のペニスを愛撫した。 「んっ‥あ、んっ‥‥」 背をたわませ銀次の肩に頭を預けるようにして蛮が喘ぐ。 羞恥心が薄れているのか、声を押し殺すことなど全くせず素直に嬌声をあげてはもっととねだる。 すぐに一度目の射精が訪れた。 「んあ‥‥あっあっ‥‥出る! あー‥やっ、ああっ‥‥んっっ」 蛮の全身にグッと力が篭る。 と、勢いよく白濁の精が飛び散った。 軽く扱いて全部を出させてやると、うっとりとした目を向けてきた。 「どう、気持ちよかった?」 「ん‥‥気持ちよかった。これで、おしまい?」 「まだまだ先はあるんだよ。でも、蛮ちゃんは我慢できないんじゃないかな。最初にちょっと痛いんだ。痛いの、嫌でしょ?」 ちょっと馬鹿にしたようなふうを装って言えば、負けん気の強い蛮は銀次の予想通りの答えを返してきたのだった。 「ちょっと痛いくらい、我慢できる!」
その時の銀次の笑顔は、いつもよりずっと黒いものだったのだが、蛮は気付く事は無かった。
畳に広げた毛布の上に四つん這いになり、尻を高く突き出すような格好で蛮は居た。 「こうか?」 「うん、そう、それでいいよ。痛いのは少ないほうがいいからね。その準備だよ。やらないともっと痛いんだよ」 「ん、平気だって、言ってんのにな」 「オレが嫌なんだよ。じゃ、そのまま動かないようにしててね」 そう言えば、蛮はこくんと頷いて返事を返した。
突き出された尻に軽くキスを落として、まだ硬く閉じられたままの蕾を舌先でつついた。 「んっ‥‥」 蛮はびくりと身体を震わせる。 銀次はくすっと声を出さずに笑うと、下を上下へ動かし、蕾に唾液で潤いを与えてやった。そのまま舌先で蕾をこじ開ける。 「ん、んあっ‥‥!」 蛮の手はしっかりと毛布を握り締めていた。体勢を変えたりしないように必死に愛撫に我慢しているのだろう。 (かわいいなぁ。素直な蛮ちゃんも、たまにはいいよなぁ) にんまりとほくそえみ、つき入れた舌で狭い入り口を広げるように捏ねてやる。ゆっくりと時間を掛けて、たっぶりと愛撫してやる。 くちゅり、くちゃ‥り、と湿った音と、蛮の荒い、乱れた呼吸の音だけが、狭い部屋の中そ支配している。 十分ほぐれただろう頃に、銀次は両手の親指で左右に広げるようにした。 「ひっ‥‥、あ」 白い尻が大きく振られる。銀次はもっと奥まで湿らすように舌先で内壁をくすぐるように舐めた。 「あ、うっ‥‥ん、んっ」 たっぷりと唾液を流し込むと、指を一本、つぷりと押し込んだ。 「あ、やぁ‥‥っっ!」 指を奥まで押し込めば、蛮は嫌がるように身を捩った。 けれど、痛みを感じているわけでは無いのだろう。その証拠に、蛮のペニスは形を変えていて、先端からは蜜が絶えず滴り落ちて、下の毛布に小さな水溜りを形作っているのだ。 銀次はつき入れた指を出し入れしたり、中で回すようにしたり、小刻みに振動を与えたりとさまざまな愛撫で蛮を翻弄する。 「気持ちいい? それとも、痛い?」 「あ、‥‥、へ、変な、感じ‥‥、わ、かん‥ねぇ」 「指が入ってるんだよ。それはわかる?」 銀次はそう言いながら指を軽くまげて蛮の前立腺を狙って突いた。 「ああっ‥‥あっ、イイっ! そこ、気持ちいい!」 「本当? じゃ、指増やしても平気かな」 「んっ‥‥んっ、あ‥あ‥」 返事は頷きだけで、言葉も返せないらしい。 「じゃ、行くよ」 一度引き、抜ける前にもう一本の指を伴って突き入れられた。 「はっ、‥あ、う‥‥んっ」 大きく息を吐いて、蛮は衝撃を逃がした。意識しての行動ではなく、おそらく何時もの癖のようなものなのだろう。 実際には二人は恋人同士な訳で、当然のように肉体関係もある。 今回の様な愛撫にだって実の所、蛮は慣れているのだ。 尤も、慣れてはいても、衝撃はそれなりな訳だから、それを逃がす為に大きく息を吐くのだ。 その行動が、既に癖になっているのだろう。 「どう? 感じる?」 「んっ‥、いいっ。もっと、もっと擦って、奥も、触ってよぉ」 蛮は自分の手で自分のペニスを握り扱き出して強請る。 「指じゃこれ以上は届かないよ。もうちょっと我慢してね、まだ解れきってないからね」 「んっ‥‥は、やくうっ‥‥」 強請る蛮を宥めながら、指を三本に増やし、それぞれをばらばらと動かせば、白い尻が面白いように跳ねた。 「あ、あ、あっ! イイっ! もっとぉ‥」 十分に入り口が解れて、指を抜いた頃には、蛮の意識は半分方飛びかかっていた。 「蛮ちゃん、まだこれからだよ? もうギブアップ?」 「ん〜、まだぁ、平気‥だって‥言ってるぅ‥」 「そう? じゃ、行くよぉ。力、抜いててよ?」 とろとろにとろけた状態の入り口にいきり立って存在を主張している銀次の野太いペニスが当てられた。 そのまま、銀次は腰を大きく突き出すようにして一気に蛮の中に全体を収めさせた。 「んああああっ‥‥あ、う‥いっ‥あ」 ずぷぷと音を立てながらそのまま抜き差しを繰り返す。 「ひっ! あ、あ、まっ、まって、あ、あ、ああっ‥ダメェッ」 蛮の悲鳴が上がった。おそらく快感に付いていけてないのだろう。銀次はお構いなしに大きく奥まで突き入れた。 「やッ‥‥あ、ふか‥いっ。奥、当たるぅ‥。いいよぉ‥気持ち、いいよぉ」 「うん。オレも気持ち、いいよ。こうすると、もっと気持ち良くなるよ」 銀次は普段の蛮が感じて乱れるポイントを狙って集中的に攻め立てた。 「ああっ、おかしく、なっちゃうよぉ‥‥、ぎんじぃ〜」 大きく喘ぎ、蛮は背を撓ませる。 「やあ‥ん。ダメ、も、ダメェ‥‥、やだぁ!」 「や、なの? やめちゃうぞ?」 「ダメェ、止めちゃ、ダメェ。イクっ、イクっ、あ、もう、ちょっと、あ、あ、あ、ああぁぁぁっ!」 素直に快感に酔いしれ、嬌声をあげて啼く。 気持ちいいと叫び、もっとと強請る。
子供の持つワガママさそのままに蛮は振る舞い、また子供らしい素直さで甲高く啼く。 滅多に見られない、快楽に喘ぎ啼く蛮の艶姿に煽られ、銀次はしつこいほどに攻め立てた。 彼の中に何度も、自分の精を注ぎ込み、また蛮にも何度も吐きださせた。 「ん‥‥、も、ダメェ‥‥、許してぇ‥‥」 そう叫んで意識を失った身体がくたりと倒れ伏すまで余すとこなく彼の身体をむさぼったのだった。
翌朝。 といっても行為が終わったのが殆ど明け方だったせいもあって二人が起きた時には既に太陽は真上に近かった。時間としては11時といったところか。 「‥‥のど‥‥イテェ‥‥‥」 「はい、お水」 掠れた小さな呟き声に答えて銀次は水を入れたグラスを差し出す。 蛮は受け取ろうと手を伸ばしたのだが、腕が震えて上手く力が入らない。 「手伝うよ」 銀次はそう言って蛮の背中を支え、グラスを口元に差し出した。 蛮は不機嫌そうに顔を顰めたが、水が欲しいのだが自力ではなんともならない現状に諦めに似た溜息を吐き、素直に口を付けたのだった。 冷えた水が喉に流れ込み、蛮はグラスの中身を殆ど一息で飲み干したのだった。 「はぁ‥‥」 「大丈夫?」 「てめぇ‥何度‥やりや、がった‥?」 「ん〜と、蛮ちゃんが、欲しがっただけ、かな?」 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」 そんなふうに答えたら、げしっと蹴り飛ばされた。 「〜〜〜っっっっ!」 「痛いんでしょ? 大人しく寝ててよ」 「っくしょう‥‥覚えてねぇ」 ぼふっと布団に沈み込みながら蛮が呟いた。 「そうなの? 普通に会話してたよ?」 しれっと銀次はそう答えた。確かに普通に会話はしていた。ただし、蛮の方のお頭の中身が少々どころじゃないお子様だっただけで。 「そうなのか? 悪酔い、したか?」 「まぁ、確かに飲みすぎてたかもね。ゴメンね、気付かなくって」 銀次は蛮に布団を掛けてやった。 「ゆっくり寝てて。どうせ、それじゃ起きれないでしょ? その間にごはんの買い物してきちゃうよ。雑炊くらいなら、食べられるよね?」 こくんと頷きが返事だった。 「じゃ、寝てて、ね?」 ぽんぽんと布団越しにあやすように叩かれて。 何となく、それが心地よくて素直に蛮は眠りに誘われていった。
すうすうと穏やかな寝息を立てだしたことを確かめてから銀次はそっと部屋を出て行ったのだった。
────飲みすぎちゃった蛮ちゃんは、子供で素直で、とってもかわいっくって。 だから、オレは教えてあげない。 あんな、可愛い蛮ちゃんを、唯一、オレだけが知っている。 蛮ちゃんにだって渡せないよ? オレだけが、独り占め ────
コメント:え〜、第一作品は、『GO IT!』のgoto様にキリリクした「酔っ払うと幼児退行する蛮ちゃん」ネタです。なんか、落ちが同じになってしまってますが、中身は変わっていると思うのですが‥‥‥。けっしてまねっ子では無いんですよ? 最後まで読んでくださってありがとうございます。初黒っぽい銀次でした(笑)(焔)
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