「今日はお前の誕生日だろ?お前が望む『どんな姿』にでもなってやるよ?」
蛮ちゃんが言った。 それはそれは、今すぐ襲いたくなるくらいの色気を振り撒いて。
「蛮ちゃん、嬉しいよ!俺、俺…。」 「ったく。そう、ガッツクんじゃねぇよ。」
早速押し倒しながら、やる気満々とばかりに俺はズボンを下ろしにかかってたのに、蛮ちゃんは顔をガッシリ押さえてしまった。
「『どんな姿』でもっつったろ?」
ニヤリと笑って、蛮ちゃんは小さなビニール袋を突き出した。 それは、赤、青、緑、紫…鮮やかな色の四つのカプセルが入っていた。
「これ、何?」
受け取ったカプセルをマジマジと見ても、ただのカプセルにしか見えない。 そんな俺の考えを読み取って、蛮ちゃんが説明する。
「これは、ただのカプセルじゃねぇ。マリーア特製の魔法の薬。赤は10歳若くなり、青は2歳若く、緑は女の体に、紫は飲んでからのお楽しみだってよ。」
ゴクリと喉が鳴る。 つまり、あんな蛮ちゃんやこんな蛮ちゃんに会えるという事じゃないだろうか?
「さぁ。どんな俺が望みだ?ガキの頃か、出会った頃か、女の俺か。それとも…。」
口端に浮かぶ、誘うような妖艶な笑み。 俺は生まれてから初めてってくらい一生懸命考えた。 考えて考えて考え抜いて…。そして、一粒のカプセルを選んだ。
「それでいいのか?」 「…うん。」
蛮ちゃんは奪うように俺からカプセルを取ると、こう言ってカプセルを飲み込んだんだ。
「HAPPY BIRTHDAY。銀次。これが俺からの誕生日プレゼントだ。」
ああ。これから、どんな蛮ちゃんが俺を待っているのでしょうか!
|