ふぁむふぁたる3





蛮ちゃんがいやに温和しく、囚われている。てっきりすぐに逃げてしまうと思ったのに。

今もぐったりとベッドに裸の躯を投げ出したまま、荒い息を整えている。

酷い事を強いている。

そういう自覚はしっかりあって、でも、それに対しての罪悪感は全く無い。

「蛮ちゃん‥‥、なんで‥」

逃げないのか?

返事が恐くて、口に出来ない疑問がこだましている。

「う‥ん‥? 何か‥‥言った‥か‥?」

「ううん、何も」

「そっか‥‥、少し‥寝て‥いい‥か?」

「うん」

こんな状態なのに、蛮ちゃんは何も言わない。何か、気付いているのかな‥‥



青い顔色。

陽射しに直に当たらなくなった肌は抜けるような白さを誇り、蝋のようになめらかだった。

長い睫毛のかげが落ちる顔には疲労の色が濃く残っている。

毎日、限界を訴えるまで、休みなく彼の躯を貪り抱いた。

無意識のあらがいはあるものの、拒否することは全く無かった。

優しい、蛮ちゃん。

でも、その優しさが、オレを傷つける。


きっと、オレじゃなくても、いいんだ。

ただ単に、今の彼の好意の頂点がオレなだけ。


眠りの淵に沈んだままの蛮ちゃん。

全裸の姿を惜し気もなく晒している。

白い肌のいたるところにはキスマーク。

血が滲んだものすらある。

全部、オレが付けたもの。

ねぇ、なんで逃げないの?

蛮ちゃんの力なら、足に付けた枷も鎖も簡単に外せる筈でしょ?

オレに同情してくれてるの?

そして、オレは本当に蛮ちゃんを、愛しているのだろうか?


解らない事だらけで‥‥

オレの頭の中はぐるぐる渦を巻く。



捕らえて、閉じ込めて‥‥

その瞳に、オレしか映さない。


なのに‥‥‥‥

彼の心は、何処にある?

オレの手には‥‥‥



はいらない?





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