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ばふっと、灰と埃を撒き散らせて辿りついた部屋は予想通り外から覗いたあの部屋のようだ。 薄暗い中に銀の鳥かごがたくさん置かれている。 中に閉じ込められた子達は何人かはぴぃぴぃと声をあげて叫んでいた。 いくつかの籠を覗きながらオレは蛮ちゃんを探した。 籠には何人かずつ閉じ込められていて、みんなの反応はまちまちだ。近寄って助けを求めるような仕種をする子。怯えて奥に小さくなってしまっている子。 どの子も大きさは10センチくらいで、体のどこかに光る羽根を付けている。その大きさや数もまちまち。 そうして部屋の一番奥の籠の中にやっと見つけた。長い紫の髪で零れ落ちそうな青紫の瞳。背中と腰には小さな光る羽根。羽根の大きさは他の子たちよりずっと大きかった。手足はうろこのようなもので覆われてて。 気の強そうな光を浮かべた瞳でじっとオレを見ていた。間違いない、この子が蛮ちゃんだ。 「迎えに来たよ。蛮ちゃん」 小声でそう告げれば、小さなその子は満足そうに頷いてくれた。 近づいてかごをよく調べれば、籠の出入り口の下の所になにかへんてこな文様が刻み付けられていた。 掘り込まれているらしく指で擦ってもそこに文様があることがわかる。 「これが蛮ちゃん達を閉じ込めて居る『呪』って奴かな。でも、どうしたら良いんだろう? こういうのって消せば効果ってなくなるんだよね?」 そう蛮ちゃんに問いかければ、何かジェスチャ−をしている。 「何? ‥‥んーと、お皿? お皿が回るの? あ、電子レンジだ‥‥、あ、そうか」 蛮ちゃんのくれたヒントで思いつけた。 「この模様のあるとこだけ加熱して溶かしちゃえば良いんだよね。蛮ちゃん、熱くなるから離れてて」 オレは手を伸ばして集中した。 なるべく小さな範囲だけの温度を上げるように。 直ぐに、ぐずぐずと音を立てて金属の表面が泡立った。そうなれば刻まれた文様も引きずられて変形をする。 その途端、蛮ちゃんは飛び出してきてオレにしがみついた。 「蛮ちゃん、無事? 怪我なんかしてない? 平気?」 こくこくと頷く蛮ちゃんにオレはほっと胸をなでおろした。 「さてと、出来るだけ他の子達も逃がさなきゃ‥」 外の気配を探れば変わりが無いように思える。これなら、何とかなるかも。 「よし、蛮ちゃん、ちょっと待っててね」 そうして近くの籠から同じように文様を消してやる。 籠の中は大抵数人の子でひしめき合っていて、蛮ちゃんの籠のように一人だけというのは無かった。これだけとってみても蛮ちゃんだけ別格扱いされていたことがわかる。 「さ、みんな出た? そこの暖炉から上の階の部屋に行って、窓が開いてるから外に出れるよ! 急いで!」 10個近くあった籠をすべて開け、逃げ道を教えてやった。いっせいに、皆暖炉へと向かって飛んでゆく。 「さ、オレ達も逃げよう!」 そう言った時、蛮ちゃんがドアを指差した。 はっと、気づけば、ドアの直ぐ外に人の気配がする。オレは慌てて家具の陰の暗がりに飛び込んで隠れた。 息を潜め、気配を出来る限り消す。 直ぐにドアが開かれ、男が2人入ってきた。
ネクスト→
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