![]() 「ほら見ろ、やっぱり侵入者じゃねぇか。ちくしょう、全部逃げてやがる」 「どっから入ってきたんだ? そいつは」 「まだ遠くには逃げてないはずだ。建物の中を探せば‥‥あそこの、暖炉。ふさいでなかったのか?」 男達はつかつかと近づいてきた。 (見つかりませんように!) オレはますます身を縮めた。 ラッキーなことに男達はオレには気づかなかった。そのまま暖炉に近づいて中を覗き込んでいる。 「居た! 上の部屋だ! 急げ!」 駆け足で男達は出て行ってしまった。 「はぁ〜、助かった‥‥」 でも、あの男達が上に行ったってことは、オレ達はどこから逃げたら良いんだろう。 この部屋の窓を壊して出ても良いんだけど(此処は一階だし)そんな大きな音を立てたら逆に注目されてしまって却って逃げづらい。籠を開けながらこの部屋の窓を全部調べたけど、籠と同じような文様が刻み込まれていて開きそうにない。 籠のように溶かそうとすれば、窓枠の木の部分に火が付くほうが先だろう。 考え込んでいると、蛮ちゃんがつんつんとオレの髪を引っ張った。 「何?」 蛮ちゃんはしきりとドアを指差している。でも、もう人の気配は近くには無い。 「あのドアから、逃げるの?」 そう聞けば大きく首を横に振られた。 「ん? 逃げるんじゃ、無い? ‥‥ってことは、何かやっておく事があるんだ?」 今度は大きく縦に頷く。 「わかった。ほっておけないような事なんだね?」 念を押しても、蛮ちゃんの返事は同じ。 「場所、わかる?」 この問いにも頷く。 「じゃ、案内して‥」 オレは気配をさぐりつつ、廊下へとすべり出たのだった。
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