![]() 窓の無いこの部屋から見れば、明るいのは出口だけ。 そっちに向かって全力で走りながら体勢を低くする。なんせ、蛮ちゃんがいるから電撃は使えない。 だから、自分の身体自体を武器にすることにしたんだ。走ってきた勢いのまま思いっきり体当たりを掛ける。 民族衣装みたいなのを着た男は、のけぞるように吹き飛んだ。 あとは白衣の男2人。彼らのほうを向けば、2人とも唖然としている。ラッキー! その隙を付いて、2人とも殴り飛ばして通路の階段に飛び込んだ。 そこを一息に駆け抜け、階段を飛び上がり、その勢いで前に立ちふさがりかけてきた男2人を弾き飛ばす。 オレは止まる事無くドアにまで体当たりして、館の外へ。 兎に角地面が土なら、マリーアさんから貰ったアイテムが使えるはずだから。 尤も、今の状況じゃ使って移動しても、通路が閉じる前に追ってこられそうだ。 どうにかして時間を稼がなきゃ! でも、止まって考えたりする時間も無い。オレは森の中に入り込み、必死に走った。 兎に角、建物から遠く離れること! それしか浮かばなかった。
必死に走って、駆け抜けた先、突然地面が消えた。 「ウソっ!」 勢いのまま宙を泳いだ身体は重力にしたがって一気に下へと、加速して落ちてゆく。 「うああっ‥!」 建物の高さにしたら3,4階分をすべる様に落下して、最後は転げて止まった。 突き出ていた岩や生えている木々で、あちこちぶつけたらしく鈍い痛みが身体のあちこちからしてきて、意識がかすんでいく。 (‥こんな、ところで‥気を、失ったら‥‥‥) がけの上から追ってきた男達の声が聞こえた気がした。 けれど、オレの意識はそのまま闇の中に飲まれてしまった。
ネクスト→
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