「蛮ちゃん…。凄くキレイ。よく似合ってるよ。」 「……っ。はっ、ァ……銀次っ。」
妖しげな空気を纏った、ロウソクの灯りが揺らめく無限城のとある一室。 恍惚とした表情をした銀次の、その眼差しの先にいるのは、もちろん…蛮だ。
真紅のロープが、蛮の自由を奪っていた。 流れるようなラインは、計算された道筋を通り、白い素肌に僅かに食い込みながら、亀の甲羅に似た模様を描く。 ゴワつくロープの感触に、痛みはそれ程ないが、白い素肌に艶やかに浮かぶ真紅が妖しく、自由を奪われている事実が、精神的に蛮を追い詰めた。
「頼…む……。せめて、ここから…っ、降ろしてくれ。」
目隠しまでされている為、気配だけで位置を探り、蛮は懇願した。
蛮が乗せられているのは、三角木馬と言われているものだ。 まるで大きくした三角柱の積み木で作ったようなソレの、三角形の頂点を跨ぐ形で蛮はいた。
クスっと、銀次が笑う。
「どうして?それも蛮ちゃんへのプレゼントなのに。」
蛮の誕生日プレゼントを用意したからと、銀次は蛮を呼び出したのだ。 そして、用意されていたのは、数々のSMの道具。 呆気に取られているうちに、電撃で気絶させられ、気が付いた時には木馬の上に縛り上げられて乗っていたのだ。
「こんな…の、いらな……っ」 「そうかな?結構、気に入って貰えたと思ったけどなぁ。ほら?」
そう言って、銀次が手元のスイッチを操作すると、蛮の唇が戦慄き、悲痛が鳴り響いた。
「ヒィ…いっ……あ、ァ………っ」
ナカに事前に埋めてあった遠隔操作出来るバイブが動き出す。 それは、ちょうど木馬の尖まった先端に当たり、ただナカで震えるよりも強烈な振動を蛮にもたらした。
「アァ……やっ、銀次っ……はぅ…あっ」
震えたバイブが木馬に当たって弾かれ、思わぬ動きで蛮を攻める。 過敏な肉壁を押し付けるように震え、溢れ出る快楽に体は身悶えるばかりだ。 どうにか快楽を和らげようにも、足枷によって木馬に繋がれている状態ではどうにもならない。
「あっ、アァ……ッ……ふぁ、あっ……ン」
ビクッと弾かれたように浮きかけた腰を、銀次は絶妙なタイミングで押さえ付けた。
「はぅ……アァ、んっ…あっ、ァ……ひっ、ィ」
尖った先端が双丘の割れ目を深く刺す。 痛みと同時に、奥へと転がり込んだバイブが官能を与え、喉を反らせて、蛮はあられもなく喘いだ。
「ヤだっ……アァ…ぎん……ふっ、ぐぁ……」 「イヤ?だって、蛮ちゃんって痛いの好きでしょ?そうだ。プレゼント、まだあるんだ。」
言うなり、銀次が持ってきたのはリングだ。 細い針金を丸くまるめ、切り込み部分であるその両端には小さな球体がついている。 頭二つ分高くなっている蛮へと、ついっと手を伸ばすと、球体のついた切り込み部分をやや広げ、胸の突起を挟んだのだ。
「ヒィ……いっ…アァ」
痛さと快楽が紙一重でやって来た。 リングは突起を押し潰し、その形を歪ませる。 銀次は、続けて二つ目をもう片方に取り付けた。
「すごいイヤらしい格好だよ?蛮ちゃん。」
満足そうに銀次は呟く。 自分の姿を思い描いて、あまりの羞恥に逃げ出したい気分だ。 カァっと、赤く染まった蛮に、銀次はわざとらしく言葉を続けた。
「悩んで選んだ甲斐あったなぁ。どれも、蛮ちゃんに似合うよ。」 「言う…なっ……」 「白い肌には、やっぱり赤だよね?縛り方だって習ったんだから。」 「やっ……言うな!」 「リングもイヤらしく光って、木馬も気に入ってもらえたみたいだしね。」
目隠しされて視覚を奪われている為、蛮の創造力を掻き立て、羞恥心を更に煽った。
「ヤだ……銀次っ…ァ……あっ、ン」
未だナカを犯すバイブも、リングも、銀次の言葉も、確実に蛮を追い詰めている。 蛮の性器は、腹に付きそうな程に勃ち、開放を待ちわびるていた。 だが、ソレは吐き出す事を許されていない。 根元をせき止められ、痛々しい程に張り詰めている。 紫に変色したソレを、銀次は指先で撫でた。
「ひぅ……い、ァ……あっ」
それは、甘い嬌声ではなく、悲鳴だ。
「ツライ?」
同じ男として、辛さは一目瞭然であろうに、銀次は敢えて尋ねた。 無言のまま、蛮はコクコクと頷く。
「まだ、イかせてあげない。」 「銀次!…あっ、ひぃ……アァー、ア、ァ…」
バイブのレベルをMAXにし、銀次は変色した性器を口に含んだ。 滑らせる舌の上でドクドクと脈打つ血の、流がれていく様が、蛮の切迫した事態を見た目以上に伝えた。 けれど、銀次は根元を留めるリングを外す事なく、浮かび上がった血管を舐めた。
「あぁっ……ン……アっ……ァ…アァ」
快感とも苦痛ともつかない感覚に襲われ、身悶え揺れる体。 胸につけたリングが合わせて揺らめき、イヤらしさに拍車をかけた。 銀次はリングを掴み、左右から力を加えた。
「いっ……ひっ…ァ」
歪んでいた形が、更に姿を変えた。 痛みに喘ぐ蛮を見上げ、唇に笑みを浮かべると、再び性器を含んだ。
「ン……アァ…ひっ…もぅ、許し…ッて」
滅多と聞けない蛮からの許しを請う声にも、銀次は耳を貸さなかった。 ただ、ひたすらに唇で上下に扱いて、舌は包み込みながら撫で続けた。
「やっ、銀次……もっ…無理、アァ……ダメっ…助け……アァ、あー」
ロウソクの炎が蛮の叫びに呼応して揺れた。 萎えていく性器に、射精せずに絶頂を迎えたのだと悟る。 木馬の上に崩れた蛮を抱き留め、聞こえてはいないだろうが、銀次は蛮の耳元にこう囁いた。
「これで、終わりじゃないからね?蛮ちゃん。」
むしろ、これは始まりに過ぎないのだと…。
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